VOICE : 額装制作 山口志のぶ氏
- SATSUKI DESIGN OFFICE
- 3月14日
- 読了時間: 6分
山口志のぶ氏インタビュー
額装作家 多喜博子(以下、多)が、イラストレーター山口志のぶ氏(以下、山)に、額装を通じて感じた魅力や、アートについての思いをお聞かせいただきました。

―プロフィール
山口志のぶ イラストレーター
本や雑誌の装画、挿絵、ファッション、コスメ等のイラストレーション、広告など様々な分野で制作。
個展では電線がある風景や路地を描いています。
2019年より蜜蝋画を制作
■受講歴
山田博之イラストレーション講座
鈴木成一装画塾
龍神悦子 蜜蝋画教室りゅう・あーと工房
■企 画
宮川和夫実践装画塾OSAKA
■展示歴
2011 「ヤマグチシノブ展」 ギャラリースプーン( 大阪)
2013 ヤマグチシノブ展 2 「adolescence」 ギャラリースプーン( 大阪)
2014 ヤマグチシノブ「君が奏でる詩」 gallery OPA (東京)
2015 「POETRY-詩によりそう-」 Gallery DAZZLE 企画展
「ポスター展 vol.6」 Gallery DAZZLE 企画展
2016 山口志のぶ「路地の記憶」gallery OPA (東京)
「老若男女世界文学選集9 旅のラゴス を描く」 Gallery DAZZLE (東京)
2017 「Black & White」part 1」 Gallery DAZZLE (東京)
「イラストお国自慢展」 ギャラリーブラック 2F (広島)
2018 「デンセン・桜・ノスタルジー」 ai gallery (大阪)
山口志のぶ個展「電線」 gallery OPA (東京)
2019 『My Favorite Things 私のお気に入りポスター展』参加 ランドリーグラフィックスギャラリー
2020 実践装画塾OSAKA 修了装丁展 Gallery DAZZLE (東京)
実践装画塾OSAKA 修了装丁展 イロリムラcref (大阪)
2021 「人気アーティストによるtriple(トリプル)個展 Week13」 阪急高槻
山口志のぶ個展「電線と・・・」 gallery OPA (東京)
2022 山口志のぶ個展「蜜蝋と版画」 HBgallery (東京)
2023 「人気アーティストによるtriple(トリプル)個展 Week105」 阪急高槻
ビコーセレクト「アート&アクセサリーセレクション 大丸梅田
山口志のぶ個展「電線が繋ぐ場所」 gallery OPA (東京)
■Works
●小説『すばる』著者 篠田節子「青の純度」挿絵
●中央公論新社『婦人公論』著者 村山由佳 「ロマンチック・ポルノグラフィー」挿絵
●小説『すばる』著者 湊かなえ「カケラ」挿絵
●光文社『小説宝石』著者 白井智之「げろがげり、げりがげろ」挿絵
●『詩とファンタジー』かまくら春秋社 詩:前原哲実「初夢」挿絵
●週刊誌『サンデー毎日』著者 月村了衛「暗鬼夜行」挿絵
●『小説宝石』11月号光文社 著者 村木嵐「村木嵐短編集前6話」挿絵
●文芸カドカワ 著者 米澤穂信「雪夜灯籠」扉絵
●「YOLO HOTEL MUSEUM」のアートプロジェクト ホテルの1室の壁画
●光文社 著者 弐藤水流「あるミアタリの女」装画
●暮らしを楽しむ開運七十二候」神宮館出版 扉絵
●毎日新聞出版 著者 道尾秀介 「満月の泥枕」装画
●小説『すばる』著者 花村萬月「花折」挿絵
●きみと歩く道(ニコラス・パークス)小学館文庫装画
●集英社「BAILA」「nonno」「MORE」カットイラスト
●NHK BSプレミアム世界で「一番美しい瞬間(とき)」オープニングアニメーションイラスト制作
ホームページ http://shinobuyamaguchi.com/
多 個展の際は基本的にご自身で額縁を選んで額装されていますが、以前に数点額装のご依頼をいただきました。その時はなぜ私に額装を依頼しようと思われたのでしょうか?
山 多喜さんと縁があったというのがまずあるのと、高槻阪急で初めて個展をするにあたって普通の額装だけではもたなかった。その時に阪急側からメインの絵が必要と言われて、額装で豪華にしてもらおうかなと。今まではイラストを見せてお仕事もをらうための展示はしていたのですが、阪急が初めての販売目的の個展だったんです。今までは販売目的ではなかったので額縁は使い回しできていましたが、お客様に販売して持って帰っていただくにはちゃんとした恥ずかしくない額装にしたいなと思いまいした。
今まではイラストレーターとして活動していましたが、これからは蜜蝋画の作家としても活動していきたいので、額装ひとつとってもちゃんと作品として扱うようになってきましたよね。再来年、銀座で本格的に作家として作品を発表する予定があるから、その時には多喜さんに額装をまたぜひお願いしようと考えています。
多 それは光栄です。蜜蠟画はこの2-3年続けて描いていらっしゃいますがお好きなんですね?
山 蜜蠟画はイラストと違って思うように描けないのが良いですよね。イラストは思い通りに描けないと仕事にならないけど、蜜蝋画はいろんなことを試していて、ここ汚れてるけどそれが良いなと思えたり。自分でコントロールできない。

多 山口さんのようなクリエイターさんと額装作家との関係性についてどう思われますか?
山 同じ目的があると思います。額装してもらうとなったら、私だけの作品ではなくなりますよね。それは面白い効果があるし、多喜さんにお願いする時はほぼお任せです。イラストレーターとして、私の絵は材料だと思っていて、料理の材料みたいな。やりやすいように使ってください、と思える。相手の感覚やセンスに興味があるから、このひとは私の絵をどう使って生かしてくれるのか楽しみなんです。
多 それは信用信頼してくださっているのだなと思いますし、逆にプレッシャーにはなります。
山 お願いするひとはみんなプロなので。丸投げにします。蜜蝋画のほうも同じ感覚で。あまり自分が口を挟むと、自分がやっている額装と変わらなくなると思うから。依頼するには相手のセンスは重要です。多喜さんの額装で私の作品がより良くなりました。自分では想像がつかないようなストーリーなどを多喜さんが想像してくださって新たな発見がありましたよね。観るひとがどのように自分の絵を見ているのかを知れました。
多 実際に額装した作品を購入してくださったかたの反応はいかがでしたか?
山 購入してくださったかたとはそれっきりなので。蜜蝋画が売れた時に、これは特別な額装なんですよ、と説明したら、「額装は別なのですか?!」と訊かれたので額装付きですよ、と答えたら「それなら購入します」とおっしゃって。額装も気に入ってくださったのかなと思いました笑。結構な価格でしたけど、奥様にプレゼントするとおっしゃって購入くださいました。
他の額装も、みなさん感心していらっしゃいましたよ。レースのは可愛いとよく言われたし、電線の額装は斜めにカットされていてこんなのあるの?と皆言っていました。良い反応ばかりでした。

多 それは良かったです。作品との塩梅が難しいなと思う時があるんですよ。絵の強さだけではなくて、画材でも作品の強弱が違ってくるので。今後私に期待くださっていることがあれば教えてください。
山 やはり作品をより良く見えるように、多喜さんの個性が出た額装が見たいです。
多 私に依頼いただく以外の額装も含めて、額装する上で大切にされているポイントはありますか?
山 自分で選ぶときはよりシンプルなものにしています。変わったものを選ぶとダサくなりそうで。印象が濃くならないものにします。最近は白とか白木とかナチュラルな額が多いです。販売目的ではない展示のものは安い額縁を選んでいますが、販売をする個展ではネットでちゃんとしたものを購入します。
